この記事を読むと
「問い返しが上達する方法」
がわかります。
同じ指導案でも授業に差が出る
経験の浅い先生から「問い返しが上達するにはどうすれば良いのか?」という質問を受けました。
自分の作った指導案で隣のクラスの先輩の先生に授業をしてもらったところ、「自分の授業とは全然違う!」となったそうです。
その要因は色々感じたようですが、中でも「問い返し」に差があると感じたようで。
的確さ、テンポ感、言葉のチョイス、タイミングなど「なぜあんなに上手く切り返せるのだろう?」と疑問に思ったそうです。
そこで私がその先生にしたアドバイスを記録も兼ねて書いてみようと思います。
結局センスなのか?
まずその先生と話したのは、授業の上手・下手、問い返しの上手・下手は結局その先生の持つセンスによるのか?ということ。
確かに経験のある先生なら誰でも彼でも上手!というわけではないですよね・・(失礼な話ですが)
私の結論としては
「センスは授業の上手・下手には大きく関わるが、それが全てではない」
というところです。
やはり天性のワードセンスがあったり、切り返しの反応がすごく早かったり、持って生まれたものですごく上手な授業をする先生はいらっしゃいます。
スポーツ選手に天才がいるように(もちろん努力もされていますが)、何事にももともと人より上手くできる人は存在します。
ですが、「では問い返しのセンスのない人はどうしようもないのか。」と尋ねられれば「そうではない。」と答えます。
「自分は問い返しについて飛び抜けたセンスはない」と思われる先生も、間違いなく問い返しを上達させることはできます。
結論「技術の蓄積」
結論から申し上げますと、問い返しを上達させるのは
「技術の蓄積」
です。
詳しく説明していきます。
ステップ1 まずは問い返しの目的を明確に
まずは、「なんのために問い返しをするのか」ということを明確にしましょう。
子どもから帰ってくる反応になんとなく反応しているのではなかなか上達しません。
ひどい場合はただのおしゃべりみたいになってしまいます。
私の考えでは、問い返しの目的は
「思考を深める」「授業のゴールに向かう」
の2つです。
問い返しについて考えるときには常にこの2つを念頭に置いています。
ステップ2 問い返しのストックを蓄積していく
問い返しの目的を明確に持てたら、次は「大量の問い返しのストックを作る」です。
子どもの反応に対して使えるアイテムを大量に用意しておくのです。
・授業を作る段階で反応を想定して準備をする。
・他の先生の授業を見て真似をする。
・他の先生の問い返しを反面教師にして、こう問い返した方が効果的ではないか?と考える。
・授業をしている中で思いついて上手くいった問い返しを覚えておく。
など、ストック作りは工夫次第でいくらでもチャンスがあります。
さらにストック作りをどんどん進めていけば、自分の中でだんだんとグループ化され、抽象化されていくと思います。
そうなればしめたもの。
想定外の場面でも、ストックの中から組み合わせたり、変化させたりしながら、あらゆる状況に対応できるようになっていきます。
センスがある、と見える先生はその対応力が高いのではないでしょうか。
ちなみに私は、公開授業では子どもたちの反応で想定できるものは全て想定し、問い返しや反応を準備しておくようにしています。
普段の全ての授業でできれば理想ですが、なかなか現実的ではないので、そういう機会では必ずと自分の中で決めています。
ステップ3 ストックから瞬時に取り出す練習をする
ストックを貯めると同時に、そのストックから瞬時に取り出す練習を進めます。
たくさんのアイテムを持っていても、カバンから取り出せなければなんの意味もありません。
こればかりは、実際の授業の中で経験を積んでいくしかないように思います。
常に意識を持ちながら授業に取り組むことで確実に取り出す力は上がっていきます。
想定通りに問い返しがはまれば、次からは不意にその場面がやってきても対応できるでしょう。
まとめ
いったんまとめます。
「問い返し」を上達させるためには
・大量の問い返しのストックを作る
・ストックから瞬時に取り出す練習をする
この2つをひたすら積み上げていく、すなわち「技術の蓄積」を行っていくことに尽きると思います。
粘り強く積み上げていくことで、想定通りに問い返しがハマったり、一度経験した場面に対応できるようになったり、似たような場面にストックの中から臨機応変に対応できたり、それがさらにストックとなったりして、どんどん問い返しは上達していきます。
問い返しの上達は雪だるま式ではないかと思います。
思考を深める方法を子どものものにしていく
「目的を明確にした問い返しを行うこと」は、ひいては「子どもたちに思考の深め方を教えること」だと思います。
適切な問い返しを繰り返すことで、子どもたちに
「こういうふうに考えていけばよく考えることができるんだ」
と潜在的にでも身につけさせたいところです。
実際、授業をしていると、
「先生は次にこんな風に聞いてくるんじゃないか」
と考えている子もいますよね。
最終的には子どもたちが、自分の力、自分たちの力で問題と向き合い、思考を深めていくことができればベストですね。
それは「主体的・対話的で深い学び」につながるのではないでしょうか。
専門的に研究されている先生から学ぶ、自分で考える、両輪で
今回は私が経験の浅い先生と話をした内容をもとに「問い返しが上達する方法」について考えていきました。
あくまで今回の記事は私自身の考えですが、専門的に問い返しについて研究されている先生もたくさんいらっしゃいます。
そういった先生方の研究から学びつつ、自分でしっかり考える、実践する。
結局はそれが全てだと思います。
たくさんの先生たちで学び会えれば嬉しいです。
「問い返し」に関する書籍も調べておいておきます。
今回の記事の参考資料というよりは、関連書籍というところで。
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